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マニュアル

2026-02-03

翻訳用語集の作り方と運用のポイント ―翻訳品質と効率を安定させるための考え方―

訳語のばらつきやレビュー差し戻しを防ぐには、用語集の整備が欠かせません。翻訳品質を支える用語集づくりの基本を解説します。

翻訳用語集の作り方と運用のポイント ―翻訳品質と効率を安定させるための考え方―

マニュアルや取扱説明書をはじめとした技術文書の翻訳では、用語のわずかな違いが、読み手の誤解や誤操作につながることがあります。
特に専門用語や操作用語が多い文書では、訳語が統一されていないだけで、文書全体の信頼性が損なわれてしまうケースも少なくありません。

こうした課題を防ぐ有効な手段のひとつが「翻訳用語集」の整備です。
しかし実際には、「どのように作ればよいのかわからない」「どこまで決めれば十分なのか判断できない」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、マニュアル翻訳・技術文書翻訳を前提に、翻訳品質の向上と作業効率化を目的とした「翻訳用語集」の作り方と運用のポイントを解説します。

翻訳工程において用語集が重要な理由

翻訳作業では、翻訳者が原文を読み取り、適切な訳語を判断していきます。しかし、用語の定義や表記ルールが共有されていない状態では、翻訳者ごとに判断が分かれ、訳語のばらつきが発生しやすくなります。

特に技術文書や取扱説明書では、

  • 同じ意味の用語が複数の訳語で表現される
  • 原文の微妙な違いが、そのまま訳語の違いとして表れる

といった問題が起こりがちです。

翻訳用語集は、こうした判断の迷いを減らし、翻訳全体の一貫性を保つための「基準」として機能します。

翻訳用語集を整備するメリット

翻訳品質の向上

翻訳用語集を整備することで、複数の意味を持つ用語や専門用語の誤訳を防ぎ、訳語の統一を図ることができます。

翻訳されたマニュアルの表現が安定すれば、読み手にとって理解しやすい文書となり、問い合わせや誤解の防止にもつながります。

翻訳作業の効率化

翻訳者は通常、辞書や一般的な専門用語集を参照しながら作業を進めます。用語集がない場合、その都度用語の意味や訳語を調査する必要があり、作業時間が増えてしまいます。

翻訳用語集をあらかじめ用意しておくことで、調査時間を削減でき、翻訳作業をスムーズに進めることができます。

翻訳コストの削減

作業効率が向上すれば、その分翻訳コストの削減にもつながります。
また、訳語の不統一によるレビュー指摘や修正対応が減ることで、再翻訳や差し戻しといった無駄な工数を抑えることができます。

一度用語集を整備しておけば、更新や修正も比較的容易で、翻訳会社とのやり取りに要する時間を大幅に削減できる点もメリットです。

翻訳用語集の作成方法

1. 掲載項目の決定

まずは、翻訳用語集にどのような項目を掲載するかを決めます。以下は一例です。

  • 原文:単語だけでなく、複数の単語からなる用語も登録します
  • 訳文(OKワード):使用する正式な訳語
  • 訳文(NGワード):使用を避けたい類義語や旧表記
  • 備考:使用条件、訳し分けのルール、例文など
  • 日付:登録・更新日

OKワードとNGワードを明確にすることで、翻訳者の判断を減らし、訳語のブレを防ぐことができます。

2. フォーマットの作成

運用のしやすさを考えると、Excel形式での管理がおすすめです。
カテゴリーごとにシートを分けて管理することで、検索性や更新性が向上します。

重要なのは「完璧なフォーマット」を作ることではなく、関係者が迷わず使える形にすることです。

フォーマットの一例

なお、翻訳用語集フォーマットの一例を以下よりダウンロード可能です。簡単なアンケートと必要事項をご記入の上、お申し込みください。

マニュアル用の用語集作成にも応用できますので、参考としてご覧ください。

3. 用語の登録

最初からすべての用語を登録しようとすると、時間も工数もかかってしまいます。以下のような用語から、優先的に登録していくのが現実的です。

  • 使用頻度の高い用語
  • 表記ゆれが起きやすい用語
  • 原文が異なっても訳語が同じ用語
  • 業界特有の専門用語

動詞を登録する際の注意点

翻訳用語集では、原則として動詞の登録は慎重に行うことをおすすめします。
原文の動詞が、訳文でも必ず動詞として訳されるとは限らず、無理に訳語を固定すると不自然な文章になることがあるためです。

どうしても登録が必要な場合は、使用条件や文脈を明確に定義しておくことが重要です。

4. 用語集のチェックと共有

作成した用語集は、関係者に回覧し、用語の妥当性や定義の正確性を確認します。
指摘があった場合は適宜修正し、変更履歴を残しておきましょう。

また、翻訳者や翻訳会社と用語集を共有する際には、

  • 更新ルール
  • フィードバックの反映方法

をあらかじめ決めておくことで、運用がスムーズになります。

翻訳用語集のメンテナンスと運用ルール

翻訳用語集は、作成して終わりではありません。

新しい用語が登場した場合や、製品仕様・文書内容が変更された場合には、速やかに用語集を更新する必要があります。

  • 担当者を明確にする
  • 半年〜1年ごとに定期的な見直しを行う
  • 古い用語や不要な定義を整理する

こうした運用を続けることで、翻訳用語集は「翻訳品質を支える資産」として蓄積されていきます。

まとめ|翻訳品質を安定させるための基盤として

翻訳において用語の統一は非常に重要です。
翻訳用語集を整備することで、文書の一貫性が保たれ、誤訳や表現のばらつきを防ぐことができます。
特に、取扱説明書をはじめとした技術文書の翻訳では、用語集の有無が品質や作業効率に大きく影響します。
まずは頻出語や重要語から整理し、少しずつ用語集を育てていくことが、安定した翻訳につながります。

翻訳用語集の作成や運用にお困りの場合は、業務内容に即した形でのご支援も可能です。
お気軽にご相談ください。

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