コラム Column
マニュアル
2025-07-17
マニュアルの品質を左右する「用語集」の作り方と活用法
“この表現、どっちが正しい?”をなくす。信頼性や品質を高める「用語集整備」のすすめ。

マニュアル制作でよくある悩みのひとつが、「専門用語の表現のばらつき」や「表記のゆれ」です。用語や表記が統一されていないと、ユーザーにとって理解しづらいだけでなく、誤解や誤操作を招く原因にもなります。そうした課題を防ぐ手段のひとつが「用語集」の整備です。
当社でも、お客様のプロジェクトに関わる中で、“用語の定義があいまいなために、大きな手戻りが発生”し悩んでいる、という事例を多数見てきました。
用語・表記の統一はマニュアルの品質の安定性に直結します。さらに言えば、用語・表記の不統一は翻訳コストやレビュー工数の増加にもつながり、プロジェクト全体の負荷を高めてしまいます。
今回は、マニュアルにおける用語集の役割やメリット、作成や運用の方法、そしてメンテナンスのポイントについて解説します。
用語集とは?その役割とメリット
マニュアルにおける用語集とは、文書内で使われる専門用語や操作用語の表記や意味を定義した一覧です。用語集を整備することにより、以下のようなメリットが得られます:
- 文書内の表現を統一できる
- ユーザーの誤解や混乱を防ぐことができる
- 社内外でのレビューや翻訳がスムーズになる
- 教育やトレーニング資料とも連携しやすくなる
特に「部品名」「画面名」「操作手順」などの頻出語については、用語集で定義しておくことで、品質の底上げにつながります。
翻訳工程での用語集の重要性
用語集の整備は翻訳の品質と効率に直結する重要な取り組みです。
表記ゆれや定義のあいまいな用語が含まれていると、翻訳者が訳語を統一できず、文書全体にばらつきが生じたり、再翻訳が発生したりすることもあります。
用語集を翻訳者やレビュー担当者、翻訳ツールと共有することで、訳語のブレを防ぎ、レビュー工数を大幅に削減できます。
また、用語集を整備してメンテナンスし続けることで、将来的な翻訳コストの抑制や納期短縮にもつながります。
用語集の作成と運用方法
初めて用語集を作る際は、すべてを網羅しようとせず「頻出語・混同されやすい語」などから着手するのが現実的です。例えば次のようなステップで進めます:
- 既存マニュアルから表現の揺れを洗い出す
- 頻度・重要度から掲載語を選定する
- 表記ルールや言い換えパターンを定義する
- 禁止語や旧表記なども明記する
運用にあたっては、用語集の目的を関係者で共有し、編集・追加のルールや運用方針を文書化しておくことが重要です。
用語集のメンテナンスのポイント
用語集は一度作ったら終わりではなく、製品仕様や業務の変化に応じて更新が必要です。メンテナンスのポイントは以下の通りです:
- 誰が更新を担当するか(責任者の明確化)
- どのタイミングで更新するか(製品リリース単位など)
- 変更履歴を記録しておく(レビューや監査の対応に備える)
用語集の運用を標準化することで、全体の制作工数や翻訳コストの抑制にもつながります。
まとめ
用語集の整備は地味な作業に見えるかもしれませんが、マニュアル品質の安定を支える基盤として非常に重要です。特に、自動車業界や部品メーカーのように多数の製品とマニュアルを扱う現場では、表現の揺れが積み重なればユーザーの信頼性にも影響します。まずは頻出語の整理から、少しずつ用語集の整備をはじめてみませんか。
クイックスでは、マニュアル品質に課題を抱える企業様への用語集整備支援も行っております。まずはお気軽にご相談ください。
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