コラム Column
マニュアル
2025-06-18
取説をWeb化するなら“作り方”から変えよう。マニュアル運用を支えるトピックライティング
Webマニュアル化の成功のカギは、“作り方”から見直すことです。

取扱説明書をWeb化する流れが広がる中で、PDF化やHTML化に取り組む企業が増えています。見た目は洗練され、アクセス性も向上した――それでも、現場では「更新作業が大変」「似たような修正が何度も発生する」といった声を度々耳にします。
その原因のひとつが、“見せ方”だけが変わって、“作り方”が変わっていないことです。
これからWebマニュアル化を検討している方も、すでにPDF化・HTML化など一部取り組んでいる方も、運用の手間や改善の壁に直面することがあります。本コラムでは、マニュアル運用をより効率的に行うための考え方として、「作り方」を根本から見直すことの重要性をお伝えします。
Web化したのに、なぜ作業がラクにならない?
Web化といえば、紙マニュアルをPDFにしたり、HTMLで公開したりといった取り組みが思い浮かびます。これから取り組もうとしている企業も、すでに一部進めている企業もあるでしょう。
たしかに、それだけでも紙に比べて検索性は上がり、スマートフォンなどで場所を問わず閲覧しやすくなるかもしれません。
ただ、実際の現場では「思ったより作成・管理の手間が減らない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
たとえば…
- 改訂のたびに複数のページを個別に手直ししている
- 似たような製品のマニュアルを毎回コピーして手修正している
- 書き手によって品質や構成がバラバラになっている
こうした悩みの背景にあるのが、「見せ方」は変わったけれど「作り方」は従来のまま、という現状であることが少なくありません。
そこで注目されるのが、「トピックライティング」です。
トピックライティングとは?――マニュアルを「部品」で作る考え方
トピックライティングは、マニュアルを「情報の部品(=トピック)」として作る方法です。
従来のように1本の文書として通しで書くのではなく、「電源の入れ方」「画面の見かた」「注意事項」といった、1つの目的ごとの情報単位に分けて書くスタイルです。
たとえば、次のようなイメージです:
- トピック①:電源の入れ方
- トピック②:画面の見かた
- トピック③:設定方法
- トピック④:注意事項
- トピック⑤:トラブル時の対応
このように小さな単位で情報を管理することで、他の製品で同じ説明を再利用したり、部分的に修正して反映したりできるようになります。
これが、マニュアル運用の効率を大きく変える第一歩です。

※実際の制作物とは異なります。イメージとしてご覧ください。
トピック指向・DITAという“マニュアルの設計ルール”
トピックを集めたら、それを順序立ててマニュアルとして構成しなければなりません。そのとき必要なのが「トピック指向」という考え方です。
トピック指向とは、マニュアル全体を1つの長い文書ととらえるのではなく、目的に応じてトピックを選んで並べて構成する「地図」のような考え方です。
さらに、この考え方を実際の制作現場で活用できるようにした仕組みが、「DITA(Darwin Information Typing Architecture)」です。
DITAでは、トピックをXMLという形式で記述し、「どのトピックをどう組み合わせて構成するか」をマップで管理できます。
DITAを使うことで、
- 共通トピックを複数マニュアルで再利用
- 修正した箇所が全体に自動で反映
- 多言語対応やCMS連携も効率的に実現
といった仕組みが整い、制作だけでなく、管理・翻訳・配信も含めた“マニュアル運用のしくみ化”が可能になります。

※実際の制作物とは異なります。イメージとしてご覧ください。
一括修正の威力と、見落とせない「設計の罠」
共通トピックを使えば、一か所の修正で全てのマニュアルに反映されます。
この一括更新はトピックライティングの最大の強みです。
しかし裏を返せば、どのマニュアルにどのトピックが使われているのかをしっかり把握していないと、思わぬ影響が出ることもあります。
たとえば、
- 修正の意図が他の製品には合わなかった
- 誤って必要な記述が削除されてしまった
- トピックの使いどころにルールがなく、社内で混乱が起きた
このような事態を防ぐには、トピックの粒度、共通化の判断、バージョン管理といった運用ルールの設計が必要不可欠です。
クイックスは、設計から運用までトータルでご支援します
トピックライティングは「便利そう」だけで始めると、途中でつまずきやすい手法でもあります。だからこそ、導入時は設計・執筆・運用を一体で考えるパートナーが必要です。
クイックスでは、以下のようなご支援が可能です。
- マニュアルのトピック設計・ルール化支援
- 制作現場向けのガイド整備・教育支援
- CMS・DITA・Web配信などの運用設計
「Web化はしたけれど運用が煩雑」「これから取り組みたいが不安がある」、そんなときは、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
マニュアルのWeb化は、見た目を整えるだけでは不十分です。
情報を部品化し、再利用・更新・共有しやすくする“作り方”へのシフトが、運用のラクさを大きく左右します。
トピックライティングはその第一歩であり、「効率よく」「誰でも」「長く使える」マニュアルづくりに欠かせない考え方です。
“書き方”を変えることは、“働き方”を変えることにもつながります。
今こそ、作り方からマニュアル運用を見直してみませんか?
クイックスでは、これからWebマニュアル化に取り組みたい方への導入支援はもちろん、すでに取り組まれている方の改善支援にも対応しています。
お問い合わせはこちら
マニュアルのWeb化、効率化、運用改善にお悩みですか?
クイックスでは、トピックライティング導入支援から制作・配信設計まで、一貫してサポートしています。
まずはお気軽にお問い合わせください。 導入のご相談から段階的な改善まで、お手伝いします。
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