コラム Column

業務マニュアルを書いたけれども、情報が足りておらず問い合わせが減らない、あるいは情報が多すぎてわかりづらいマニュアルになってしまった。こういった問題は一度は経験があるかと思います。今回は、マニュアルに記載する情報の細かさについて、読み手の観点からお伝えします。

業務マニュアルの作成において、どういった人を対象にしたマニュアルなのかを明確にすることが重要です。読み手がどのような情報を必要としているのかを理解することで、適切な情報の細かさを決定することができます。以下に、主な読み手の種類とそれぞれに必要な情報の細かさについて説明します。

新入社員や異動してきたばかりの人は、まず何がわからないかわからないといった状態になりがちです。そういった方へは単体の手順情報だけでなく、業務全体のフロー図から、各業務の目的、注意事項、関係する資料等、一通りの情報が必要となります。ただし、1文書あたり情報量が多くなることが考えられるため、目次構成や一文当たりの情報量を適切に管理し、文書の可読性を上げることが必要になります。

• 概要（目的、対象者）
• 前提知識（業務全体のフロー、用語定義、注意事項）
• 手順情報
• よくある質問
• 関係資料（関連法規、帳票、その他参考資料等）

業務に慣れてきた方は、マニュアルを業務の確認用（リファレンス的）に使うシーンが増えてきます。その場合、マニュアル内に細かい用語定義や細かすぎる手順情報が載っていると、逆に確認したい情報を探すことが困難になります。こうした問題を解消するためには、新入社員向けマニュアルから基礎教育で周知されている情報や、慣れてきた方には不要な情報を削ることで、マニュアルの使いやすさを上げることができます。

例えば、社内で使用しているシステムのマニュアルを例に考えてみます。マニュアルの対象者がPC操作に慣れていない層だった場合、そもそもPCの起動方法やアカウントのログイン方法から教育（マニュアルに記載）する必要があります。しかし、PC操作に慣れ親しんだ人が対象の場合には、そういった情報はノイズになりかねません。こういった観点で、マニュアルに記載する情報を読み手視点で考えることが必要です。

また、対象が新入社員だからといって、すべてのマニュアルに細かい情報を書くことは運用上好ましくありません。その場合は、基礎教育を行う、または別冊で教育資料を準備することによって、マニュアルに記載する情報を減らし、新入社員だけでなくベテラン社員にも使いやすいマニュアルで運用することも可能です。このように、御社にとって最適な情報の細かさがどういったものかを考えることが重要です。

業務マニュアルの情報の細かさは、読み手の種類によって異なります。新入社員や初心者には詳細な説明が必要であり、ベテラン社員や実務担当者には応用的な情報が求められます。読み手の視点に立って情報を提供し、定期的に見直しと更新を行うことで、効果的な業務マニュアルを作成できます。適切な情報の細かさを保つことで、業務の効率化と情報の正確性が向上し、問い合わせの減少や業務の円滑な遂行を目指しましょう。

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