コラム Column
ヘルスケア
2025-09-16
働く女性のプレコンセプションケアと企業の役割 ― 健診通知に“気づき”を仕込む設計とは?
将来の健康を守る第一歩。通知の工夫で行動が変わります。

妊娠を希望する前からの健康管理――いわゆる「プレコンセプションケア」は、女性の将来の選択肢を広げる重要な視点です。多くの働く女性にとって、自身の健康について深く考える機会は限られていますが、企業からの健診案内や通知が“きっかけ”になることもあります。本コラムでは、紙の健診通知にナッジ理論の考え方を取り入れ、小さな工夫で“気づき”を届ける方法をご紹介します。
プレコンセプションケアとは?
プレコンセプションケアとは、妊娠を考える前の段階から健康状態を見直し、リスクを把握して備えるための取り組みです。たとえば、子宮頸がんや風疹への備え、生活習慣病の予防、適正体重の維持などが含まれます。これは妊娠のためだけでなく、女性自身の長期的な健康の土台づくりにもつながるものです。
とはいえ、忙しい日常の中で「健診の案内が届いても、そのままにしてしまう」という人も少なくありません。企業が従業員に届ける健診の通知が、“受けたくなる”“行動につながる”ものであれば、プレコンセプションケアの後押しになる可能性があります。
紙の通知でこそ“気づき”を届ける工夫が活きる
企業では、総務や人事部門が中心となって、紙の健診通知を配布しているケースが多く見られます。この紙面こそ、ほんの少しの工夫で“行動を促す案内”に変えることができます。ナッジ理論の考え方を取り入れて、選択をサポートする設計にすることがポイントです。
以下に、紙の通知文面で始めやすいナッジ的な工夫をいくつかご紹介します。
① 見出しに「未来の視点」を添える
Before:婦人科健診のご案内
After:あなたの未来の健康のために ― 婦人科健診のご案内
② 書き出しで“あるある共感”を呼びかける
Before:健診日程が決まりましたのでご案内いたします。
After:
「気にはなっているけれど、毎年なんとなく見送っている」
――そんな声にお応えし、今年は案内内容を見直しました。
今後の健康のために、ぜひこの機会をご活用ください。
③ 時間帯の選択肢をチェック式で提示する
健診は時間の都合で見送られることも多いため、希望時間を選べるようにすることで「行動する前提」を意識させることができます。
▼例 ------------------------------------------------------
以下の時間帯のうち、ご希望がある場合は✔をご記入ください:
□ 10:00〜12:00 を希望
□ 12:00〜14:00 を希望
□ 14:00〜16:00 を希望
□ 16:00〜18:00 を希望
□ その他( )を希望
※ご希望を参考に、できる限り調整を行います。
時間帯のご指定は確約ではありませんので、あらかじめご了承ください。
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④ 補足欄に「Q&A」や「先輩の声」を添える
健診そのものに不安や抵抗を持つ方もいます。通知の下部に、小さな「よくある質問」や「体験談」を加えることで、心理的なハードルを下げられます。
▼例 ------------------------------------------------------
よくある質問より
・婦人科健診は、どのような内容ですか?
・受けるのが恥ずかしいのですが、大丈夫でしょうか?
受診者の声
「最初は不安でしたが、案内を読んで受けてみようと思えました」
「仕事との両立が難しい中、時間帯が選べるようになって助かりました」
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プレコンセプションケアの推進は、将来の健康リスクを減らし、働く女性のライフデザインを支えるための重要な取り組みです。
そしてその入り口となるのが、企業から届く健診通知です。特別な仕組みがなくても、紙の通知文を少し工夫するだけで、行動を促す「ナッジ」へと変えることができます。できるところから、小さな“気づき”を届ける設計を始めてみませんか。
クイックスの支援ツールのご紹介
最後に、“届け方の工夫”を具体的に実現するためのツールをご紹介します。
- 健診Assist:婦人科検診情報 やセルフチェックを健診通知に自然に添えられます
- セルフメディケーション通知:市販薬の選び方や不調との 付き合い方をやさしく伝える通知支援
まずはお気軽にご相談ください。