コラム Column
ヘルスケア
2025-02-12
働く時代からはじめるフレイル予防~定年退職者が増える今、健保担当者にできること~
高齢組合員が増える健康保険組合様にとって、フレイル予防は最優先課題です。定年退職前からの支援が、組合員の未来を左右します。

高齢化が進むなか、多くの健康保険組合様では定年退職者が急増し、医療費や介護費の上昇が深刻な課題となっています。これまで現役世代に対しては健康診断や保健指導を充実させてきた一方、退職後の組合員に対しては十分なアプローチが難しいと感じている担当者も多いのではないでしょうか。
その解決策として注目されているのが「フレイル予防」です。フレイルは適切な対策を行えば回復も望める“可逆的”な状態であり、定年前からの生活習慣づくりが重要とされています。本コラムでは、高齢組合員の多い健保担当者の方へ向けて、フレイル予防のポイントや有効なサポート策をご紹介します。
定年退職者が増える健康保険組合様が直面する課題
定年退職者が増加すると、医療費や介護費負担は当然ながら上昇傾向にあります。特に高齢組合員が多い健康保険組合様では、退職後の組合員がどれだけ健康で自立した生活を送れるかが、財政面にも大きく影響するのが現実です。
健保担当者としては、現役世代のうちから生活習慣の改善や疾病予防を進めてきたものの、「退職すると人間ドックを受けなくなる」「会社の健康プログラムを利用しにくくなる」といった課題に直面する組合員も多いのではないでしょうか。こうした現状を踏まえ、「退職後も健康を維持してほしい」という思いをどう具体化するかが、いままさに問われています。
フレイル(虚弱)とは? 退職後に要介護へ移行するリスクを防ぐために
フレイルは、健康と要介護の中間にある状態を指します。筋力や体力の低下だけでなく、心理面や社会とのつながりの減少も含む、複合的な虚弱です。このフレイルが進行すると、要介護状態へと一気に近づくリスクが高まります。
一方で、フレイルは「可逆的」である点も大きな特徴です。つまり、適切な運動・栄養・社会参加などで回復が見込める可能性があります。要介護になる前の段階で早めに気づき、対策を取ることが、組合員の医療費や介護費を抑制し、QOLを維持するうえで極めて重要です。
働く時代からはじめるフレイル予防が鍵
(1) 運動習慣の確立
通勤時の階段利用や昼休みのウォーキングなど、「ちょい足し運動」は退職前でも実践しやすい取り組みです。健康保険組合様としては、“運動の大切さ”を伝えるだけでなく、具体的なアクションを提示することが大切です。たとえば「一日○歩チャレンジ」「オンラインでつながる筋トレ講座」などのプログラムを設け、参加しやすい環境を整えましょう。
(2) 栄養・食事バランスの啓発
外食や忙しさで乱れがちな食生活は、退職後も継続する恐れがあります。適切なタンパク質摂取や、生活習慣病予防のレシピをまとめたリーフレット配布、保健指導の継続など、情報提供を絶やさないことがポイントです。
(3) 社会参加・コミュニケーションの促進
退職後の孤立を防ぐには、現役時代から「職場以外のコミュニティ」を意識づける必要があります。地域の健康イベントや趣味サークルの案内、OB同士が交流できる仕組みづくりなど、社外ネットワークの構築をサポートする施策を検討しましょう。
日常の小さな変化を見逃さない仕組みづくり
「体重が急に減った」「歩くスピードが落ちた」「あまり外出しなくなった」など、フレイルはほんの些細なサインから始まることが多いものです。健保担当者としては、定期的なセルフチェックを呼びかけたり、保健指導や健診結果を組み合わせてリスクを早期に把握することが大事です。
また、組合員が退職後も健保のサービスにアクセスしやすいよう、オンラインプラットフォームの整備や地域包括支援センターとの連携も有効といえます。早期発見・早期対処が実現すれば、将来的な要介護状態を防ぎ、医療費・介護費の抑制につながるでしょう。
まとめ
フレイル予防は、いまや高齢組合員を多く抱える健康保険組合様にとって重要なテーマです。退職後に発生しがちな医療費や介護費の急増を抑え、組合員が元気で充実した生活を送るためには、働く世代のうちから運動・栄養・社会参加を後押しする仕組みが欠かせません。
こうした退職者支援の方法として、弊社が提供する「退職後の健康づくりガイドブック」を導入している健康保険組合様も増えています。フレイル予防に着目した自己診断、健康状態の確認から運動、食生活、オーラルケア、社会参加など、今後の生活に役立つ情報をわかりやすくまとめた内容となっており、退職後健康に過ごすためにどうすれば良いのかしっかりと伝えることができます。
「自分の組合ではどのように始めればいいか」「具体的な導入事例を知りたい」という方は、ぜひお気軽に当社までお問い合わせください。今の一歩が、組合員の明るいセカンドライフを支える大きな力となるはずです。
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