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プリント&デリバリー
2022-02-17
これだけは知っておきたい!印刷発注のポイント
カタログやパンフレットなど印刷物を依頼する際には、予算や納期、用途に合わせた適切な発注方法があります。今回は、販促物などで多く利用されている「オフセット印刷」と「オンデマンド印刷」の違いと使い分け方法など、印刷発注でふまえておきたいポイントについてご紹介します。

“多めに作っておこう”は意外な落とし穴!?
印刷発注の際に「足りなくなるといけないから多めに頼んでおこう」「部数が多いほうが単価も安くなるし」ということで必要部数よりも多めに依頼することもあるかと思います。しかし、その結果、「思ったほど使わなかった」「長い間在庫が残り続けている」「結局、廃棄処分に..」等、といったことに陥ってしまうこともあるのではないでしょうか。
一般的には、印刷の部数が多くなるほど1部あたりの単価は下がってきますので、足りなくならないように多めに発注することは間違いではありません。ただし、想定したほど部数が減らなかったり、まだ在庫が多く残っている状態で改訂することになり、廃棄処分せざるを得ない、ということにもなりかねません。こうした“作り過ぎ”による不要な在庫は、「印刷」「在庫保管」「廃棄」それぞれ三重の無駄なコストを生み出してしまいます。さらに、紙(資源)の無駄にもなり、SDGsの観点からしても、こうした事態はできるだけ避けたいところでしょう。
そこでふまえておきたいのが、「オフセット印刷」と「オンデマンド印刷」の使い分けです。印刷方式の種類にはさまざまなものがありますが、ポスターやパンフレット・チラシなど、企業の販促分野で最も多く使われているのがこの二つの印刷方法です。実際には、仕様や部数によって印刷会社のほうで使い分けられ、発注側があまり意識することがないかもしれませんが、この二つの印刷方法の特徴をふまえて使い分け、それぞれに適正な部数にすることで、ムダを省くことができるケースもあります。
まずは、それぞれの印刷方式の違い、特徴についてみていきましょう。
オフセット印刷とオンデマンド印刷の特徴
印刷方式 オフセット印刷 オンデマンド印刷 品質 ・高画質/高精細な再現が可能
・大判サイズや多様な用紙に対応・オフセットに比べると精度が低い
・特色に対応していない価格 ・大量部数で安い ・少量部数で安い 納期 ・比較的日数がかかる(3~5日など) ・短納期(1~2日など)に対応 おすすめケース ・写真や画像などの品質重視
・大量部数(1,000部以上)
・A3サイズ以上、特殊用紙、特色仕様・スピード重視
・少量部数(100部単位)
・A3サイズ以下
オフセット印刷
オフセット印刷は、版を使って大量に印刷するしくみのため、パンフレットや冊子などで1,000部以上など比較的部数の多い場合に向いています。DICなどで指定される特色インクにも対応し、細部まで写真や文字も高精細な表現ができるため、デザイン性を重視した高品質な仕上がりが可能となります。大判サイズや凹凸のある特殊な用紙にも多く対応しているため、ポスターやパンフレット、小冊子など、多くの商業印刷で使われています。
オンデマンド印刷
オンデマンド印刷は、トナーを使用したレーザプリントまたはインクジェット方式により、必要なときに必要なだけ印刷するケースに適しています。1部からの印刷も可能で在庫保管の必要がないのもメリットです。オフセット印刷のように版の作成やインクを長く乾かす工程がないので、短納期に対応し、少ない部数で単価を抑えられます。その他、年賀ハガキやDMなどで宛名や連番など一部分だけ内容を可変するバリアブル(可変)印刷にも使われます。
用途に応じて印刷方式を使い分ける
以上の特徴をふまえて、大まかには下記のような使い分けが可能となります。
- 高精細な仕上がり品質が必要または、ある程度部数が多い場合は、オフセット印刷
- 品質はそれほど重視せず、少量部数、短納期でコストを抑えるなら、オンデマンド印刷
ただし、最近では、オンデマンド印刷でもオフセットと遜色のない品質のものもあります。人物の肌色や製品の色の再現などで高精度の仕上がりが必要な場合はオフセット印刷が適していますが、試し刷りなどでオンデマンド印刷での仕上がり品質を確かめてみるのもよいでしょう。
また、部数による使い分けについては、ペラ1枚ものや頁数の少ない場合などでは、300~500部くらいまでが単価の分岐点となります(下図参照)。100部単位などで少ない部数の場合はオンデマンド印刷、それ部以上、1,000部単位などの場合はオフセット印刷のほうが単価は安くなります。なお、頁数が多くなるとこの分岐点はさらに少なくなるほか、大判サイズや用紙の仕様によってはオフセット印刷しか対応していない場合もあります。部数毎の価格比較や仕様による印刷の可否などについては、事前に問い合わせておくとよいでしょう。

さらに発注の際に気を付けたいのが、印刷後に改訂の可能性がある場合です。シリーズもののパンフレットなどで製品の入れ替え等により内容を更新する予定がある場合は、改訂の時期とそれまでに想定する使用部数を考慮したうえで、適切な印刷方式で部数を設定する必要があります。
仮に、初回オフセット印刷で5,000部を作成し在庫がなくなった時点で、パンフレットを増刷するケースで考えてみましょう。①~④の方法で発注した場合に、かかる費用サンプルは下記となります。
- ケース①:オフセットで5,000部を印刷した場合:8万円(+在庫保管費+廃棄費)
- ケース②:オフセットで1,000部を印刷した場合:5万円(+在庫保管費)
- ケース③:オンデマンドで500部を印刷した場合:3万円
- ケース④:オンデマンドで300部を印刷した場合:2万円
※A4カラー2頁の場合
結果、増刷から次の改訂まで3,000部が必要だったとすると、保管・廃棄費を含めてもケース①がコスト的には抑えらます。その他、1,000部が必要だった場合はケース②、500部の場合はケース③、もしくは1,500部の場合はケース②+ケース③などが、コスト的には抑えられる発注方法といえるでしょう。
ただし、ケース①の場合に500部を使用した段階で修正したい内容があったとしても、もう少し部数がはけてからということで、改訂しないままユーザーへ送り続けたということになっていたかもしれません。ある程度頻繁に改訂があるような場合は、ケース③④のようにオンデマンドで発注して、つねに最新の情報をユーザーへ届けたほうがよい場合もあるでしょう。単純にコスト面だけでなく、用途や改訂の状況などを考慮したうえで最適な印刷方法、部数を設定したいものです。
とくに毎回、事務的に同じ部数で増刷発注して、在庫が残りがちな場合は要注意です。発注方法を見直すことで在庫管理の業務改善やコスト削減、費用対効果の向上に繋がることもありますので、一度検討してみてはいかがでしょうか。
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