コラム Column
マニュアル
2024-10-17
手順化すべきは何? すべてをマニュアル化しても解決しない!
すべてをマニュアル化すれば問題解決するわけではありません。今回は、マニュアル化すべき業務の選び方を解説します。 マニュアル化すべきもの、そうでないものをどのように判断すべきかもう一度考えてみましょう。

「活用されるマニュアル」が必要な理由
みなさんは業務マニュアルを作るのは好きですか?余分で面倒な作業だと思っていませんか?
積極的に作成する派は少数で、多くの場合はISOなどの規格取得のため、またはミスや問題が発生した際の再発防止策として必要に迫られて作成しているのではないでしょうか。
マニュアル作成は、ISO取得や再発防止策で必要に迫られて行われがちです。
ISOや再発防止策でマニュアルを作ると、「マニュアルがある」ことが目的になる傾向にあります。そうすると、マニュアル作成の本来の目的である「品質向上」「生産性向上」に関する検証が十分にされないままマニュアルが量産される場合があります。
また、その時の作成者都合でマニュアルが作られて、その場しのぎの文書ができあがってしまうこともあります。

ISOなどの監査時に「マニュアルがある」と答えたいためだけの文書が乱立し、その後は誰も使用せず、見直しもされない状態に陥りかねません。結果として、マニュアルはあるのに「品質低下」「生産性低下」を引き起こすことがあるのです。
「品質向上」「生産性向上」は、企業のブランド力や収益力の向上につながります。
これらを達成するためには、「存在するだけのマニュアル」でなく、正しく・見やすい状態で運用されている「活用されるマニュアル」が必要なのです。
マニュアル化することのメリット・デメリット
「活用されるマニュアル」の必要性はご理解いただけたと思います。
では次に、マニュアル化するメリットとデメリットを整理してみましょう。
<メリット>
- 属人化を防ぎ、引継ぎやヘルプ作業を効率化できる
- 品質向上・生産性向上につながる
- ガバナンス・コンプライアンス強化ができ企業資産として活用できる
<デメリット>
- 目的が理解できていないと「マニュアル人間」を作ってしまう
- 読み手にわかりやすく作るには時間がかかる
- 手順が変わると更新作業および通知作業に手間がかかる
マニュアルは必要悪
冒頭にもあるように、必要に迫られて作るのがマニュアルです。さらに、マニュアルを読めば「正しい作業」ができますが「正しい判断」が必ずしもできるかというとそうではありません。
すべての手順をマニュアル化すればよいというものではないのです。マニュアルに頼らず作業できるようになることが大切で、最後の砦としてマニュアルが必要であると考えることをお勧めします。
すべての手順をマニュアル化するのではなく、マニュアル化する業務を吟味する。そして質の高い運用を行うことで、活用されるマニュアルを維持することを目指すとよいでしょう。
マニュアル化する前に整えるべき5つのツール
それでは、マニュアル化する前に整えるべき5つのツールをご紹介します。これらを準備しておくと、マニュアルが不要になったり、簡素化することができます。
1. 環境づくり
例えば「姿置き」。あらかじめ置く物の形を置き場所へ描き、定位置を明確化する整頓方法です。どこに何を置けばよいかが、初めての人でもわかり、マニュアルを作る必要はありません。このように、現場に行くとどういう順番で作業すればよいかがわかる「環境」が整備されていると生産性があがります。
また、人の作業を極力なくし、システム化・ロボット化することも環境づくりのひとつと言えます。

2. 基礎知識共有ツール
誰もが共通した基礎知識を持っていればマニュアルの制作負荷は大きく軽減できます。新たに従事する人に対し、作業に関する最低限の知識を共有してもらうため、基礎教育の研修や用語集などを作ると効果的です。

3. ガイドライン
目指すべき方向、「指針」を示す「ガイドライン」を作成します。このガイドラインがあると、「指針」に沿った範囲でマニュアルを記載すればよいため、方向性が違う内容は排除できますし、迷った場合の拠り所にすることができます。

4. チェックリスト
各業務にチェックリストを設けることで、業務を手順通りできているか記録・保存することができます。作業別に詳細な内容を表現できるため、マニュアルに詳細な手順や条件分岐に対する記載をする手間が割愛できます。

5. Q&A/FAQ
業務で迷うポイントや、多く寄せられる疑問に対し、あらかじめ準備したQA方式で疑問解消できるようにしておきます。順番に確認していく必要があるマニュアルとは違い、ピンポイントで困りごとを解決できます。

これら5点のツールを整備したうえで、最後に必要最低限の手順をマニュアル化するのがおすすめです。
マニュアル作成対象を絞り、品質良く作る
各種ツールを整備した上で、最後の砦としてマニュアルを作る。具体的にどのように絞り込むといいのでしょうか。
おすすめは以下の例です。
- 品質や安全に大きくかかわる重要業務
- 頻繁に作業者が変わる業務
- 時折しか作業しない業務
もちろん、業務によっては他にも必要なマニュアルは出てきます。しかし、必要だからといって、どんどんマニュアルを作っては「活用されない」文書を量産することにつながります。
重要な業務に絞って質の高いマニュアルを作りましょう。不要なマニュアルを量産せず、必要な時に更新して、常に活用されるマニュアルを目指しましょう。
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