コラム Column

近年、多くの企業が新人の採用に苦戦しています。求人を出しても応募が少なく、やっと面接にこぎつけても辞退されてしまうなど、思うように人が集まらないという悩みは広がる一方です。とりわけ中小企業ではこの傾向が顕著であり、人手不足が事業運営にまで影響を与えているケースも少なくありません。

そうした背景の中で、企業が今一度見直すべきものの一つが「採用サイト」です。単なる情報の掲載ページではなく、企業の魅力を伝え、応募者との最初の接点として機能する場として、採用サイトの重要性が高まっています。

応募が来ない理由は採用サイトにあった？

応募が集まらない理由は、必ずしも待遇や立地だけにあるわけではありません。実際には、情報がきちんと求職者に届いていない、あるいは伝わり方に問題があることも多くあります。採用サイトは、求職者が企業を判断するうえで最もよく見る情報源の一つですが、その内容が形式的で画一的であれば、他社との差別化ができず印象にも残りません。

「安定した経営基盤」「アットホームな社風」など、よくある表現ばかりが並ぶページでは、求職者は「どこも同じような会社」に感じてしまうのです。では、自社ならではの魅力とは何か。本当に伝えるべきことを、改めて考えてみる必要があります。

新卒・若手に響く採用サイトの構成とは

若い世代の価値観は多様化しており、会社を選ぶ際の基準も変化しています。給料や福利厚生といった条件面だけでなく、自分が働く姿を想像できるか、共感できる雰囲気があるか、といった点が重視されるようになっています。

そのため採用サイトには、社員の日常や職場の空気感が自然に伝わるようなコンテンツが求められています。たとえば、実際に働いている社員のインタビューや詳細な事業内容の説明、職場風景の写真などがあると、見る人に安心感を与え、自分が働く未来を想像しやすくなります。会社の規模や知名度に関係なく、誠実でリアルな情報が共感を呼ぶのです。

採用サイトで「選ばれる企業」になるための方法

多くの企業が「自社の強み」を伝えようとしますが、その表現が抽象的すぎる場合、魅力が正しく伝わらないことがあります。たとえば「自由な社風」や「やりがいのある仕事」といった言葉は、抽象的で、見る人の心には残りにくいものです。

大切なのは、自社の特徴を求職者の目線で表現し直すことです。たとえば、若手でも意見を出せる環境があるのであれば、「入社1年目からプロジェクトに関わることができる」と具体的に伝えると、より明確なイメージにつながります。強みを、応募者にとっての価値として語る工夫が必要です。

中小企業ができる採用サイト改善の実践ステップ

まずは社内の声を丁寧に拾い上げることが重要です。実際に働く社員に、「なぜこの会社に入社したのか」「今、何を魅力に感じているか」といった点をヒアリングすると、自社ならではの強みが見えてきます。

次に、どのような人材を求めているのか、理想的な応募者像を明確にし、その人が知りたいと感じる情報を採用サイトに盛り込むよう意識します。また、スマートフォンでの閲覧に適した設計や、分かりやすい導線、読みやすい文章構成など、サイトとしての見やすさや使いやすさも見直すべきポイントです。

また、公開後も改善を重ねることが大切です。常に最新の情報に更新することや、ニュースの投稿など、新しいコンテンツを更新していくことで、応募者に対するサイトの効果を高めていくことができます。

採用難を脱するには「伝え方」の見直しが不可欠

採用活動は、単に求人を出すだけでは効果が得られにくい時代になっています。特に新人募集に課題を感じている企業ほど、自社の採用サイトが担う役割を見直すことで、大きな改善の可能性が生まれます。

重要なのは、伝えたいことを一方的に発信するのではなく、相手が「知りたい」と思う情報を丁寧に伝える姿勢です。企業の強みを、応募者の立場から見た「魅力」として伝えることができれば、自然と共感が生まれ、応募へとつながっていきます。

採用サイトは一度作って終わりではなく、企業の成長や採用方針の変化にあわせて進化させていくべき存在です。今こそ、採用における伝え方のあり方を見つめ直し、新たな人材との出会いに向けた第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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