COLUMN コラム
生成AIに正しい情報を参照させるための、社内文書の整え方
生成AIを組織で活用するためのポイント ― カギとなる「一次情報」とは?
2026-08-26 文書改善 文書運用改善 文書共有改善
生成AIを業務で活用する企業が増えています。文章作成や情報整理など、個人で使うだけでも便利ですが、組織で活用しようとすると、少し違った視点が必要です。
利用するサービスやセキュリティ、社内ルールなど、考えることはいくつもあります。その中で見落としやすいのが、「生成AIに何を正しい情報として参照させるのか」という点です。
今回は、生成AIを組織で活用する際に重要になる「一次情報」と、社内文書との関係について考えます。
ー 目次 ー
1. 生成AIを組織で使うときに考えたいこと
個人で生成AIを使う場合、「この資料をもとにまとめてください」「当社ではこのルールなので、それを前提に考えてください」といったように、必要な情報をその都度与えながら利用できます。
しかし、組織で多くの人が生成AIを活用するとなると、毎回一人ひとりが正しい資料を探し、必要な情報をAIに与える運用には限界があります。
組織で生成AIを活用するためには、利用環境やルールを整えるとともに、社員が共通して参照できる「正しい情報」を用意しておくことが重要になります。
例えば製造業であれば、
- この工程の正しい作業手順は何か
- 現在適用されている品質基準はどれか
- 不具合が発生した場合、どのように対応するのか
- この設備を使用するときの注意点は何か
といった質問が考えられます。
こうした自社固有の質問に答えるためには、一般的な知識だけでは足りません。
回答の根拠となる、自社の情報が必要です。
2. なぜ「一次情報」が重要なのか
そこで重要になるのが「一次情報」です。
一次情報とは、一般的には調査や実験、当事者への取材などによって直接得られた情報を指します。
企業が生成AIを業務で活用する場面では、より身近に、「自社の業務や判断の根拠となる正式な情報」と捉えるとわかりやすいでしょう。
生成AIがもっともらしい回答をしていても、その内容が自社のルールや実際の業務と合っていなければ、業務では安心して利用できません。
重要なのは、「AIが回答できるか」だけではなく、「何を根拠に回答しているか」です。
組織で生成AIを活用するほど、回答の土台となる情報の重要性は高まります。
3. 企業における一次情報とは
企業の中には、すでに多くの一次情報があります。
例えば、
- 社内規程
- 品質管理文書
- 作業手順書
- 業務マニュアル
- 製品仕様書
- 技術資料
- 各種基準書
などです。
日頃は「文書」として管理・利用しているこれらの情報も、生成AIの視点から見ると、自社の業務について回答するための重要な情報源になります。
一方、FAQやまとめ資料、社内向けの説明資料なども、情報をわかりやすく伝えるうえでは便利です。ただし、その内容が何を根拠にしているのか、元となる正式な情報がどこにあるのかを明確にしておくことも大切です。
生成AI活用を考えることは、これまで蓄積してきた社内文書を、あらためて「情報資産」として捉え直すきっかけにもなります。
4. 一次情報が整っていないと何が起こる?
一次情報は、社内に存在していればよいというものではありません。
例えば、次のような状態になっていないでしょうか。
- 同じ手順書が複数の場所に保存されている
- どれが最新版なのかわからない
- 工場や部署によって記載内容が異なる
- 古いルールが文書として残っている
- 必要な文書をすぐに見つけられない
- 実際の業務と文書の内容にズレがある
人が利用する場合には、経験のある社員に確認したり、周囲に聞いたりして補えることもあります。
しかし、生成AIに情報を参照させる場合、元となる情報が複数存在していたり、内容が古かったりすれば、どの情報を「正しい」として扱えばよいのかが曖昧になります。
そのため、生成AIを組織で活用する際には、AIの性能だけでなく、AIが参照する情報についても、
正確か、最新か、正式な情報なのか
という視点を持つことが重要です。
これは生成AIのためだけに必要なことではありません。
人が日々の業務で文書を利用するうえでも、同じように大切なポイントです。
5. 生成AI活用をきっかけに、社内情報を見直してみる
生成AIを組織で使うために、すべての社内文書を新しく作り直す必要があるわけではありません。
まずは、
- 正しい情報はどこにあるのか
- 最新版が明確になっているか
- 必要な人が必要なときに見つけられるか
といったところから、自社の情報を確認してみることが第一歩です。
生成AIの組織活用というと、AIサービスの選定や新しい技術に目が向きがちです。しかし、そのAIが活用するのは、企業がこれまで蓄積してきた情報です。
規程、品質文書、手順書、マニュアルなどの社内文書を、正しく、必要なときに活用できる状態にしておくこと。
それは生成AIを活用するための準備であると同時に、組織の業務や品質を支える情報基盤を整えることにもつながります。
生成AIの活用を考えるこの機会に、まずは自社の「正しい情報」がどこにあり、どのように管理されているかを確認してみてはいかがでしょうか。
【事例:JX金属株式会社様】一次情報を支えるISO文書などの品質管理文書の整理・活用
社内文書には、規程や業務マニュアル、手順書などさまざまなものがあります。
その一例として、品質管理文書の整備・活用に取り組んでいるJX金属株式会社様の事例をご紹介します。
品質管理文書を全社で活用できる環境へ
JX金属株式会社様では、各工場や拠点で個別に管理されていた品質管理文書を整理し、i-ShareDXを活用して、作成・更新した文書を全グループ約1万人が閲覧できる環境を整えています。
構成や表現の統一、版管理、検索性の向上などを通じて、「正しい品質情報を、必要な人が活用できる状態」にしていく取り組みです。
生成AIの活用を考えるうえでも、その前提となる社内情報をどのように整え、運用していくかは重要なテーマです。
品質文書や手順書の管理・活用に課題を感じている方は、ぜひJX金属株式会社様の事例もご覧ください。
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